第15回キャリアコンサルタント試験の論述解答例
■解答(論述試験)
第15回キャリアコンサルタント試験の論述解答例を開示します。JDCA(日本キャリア開発協会)向けの解答例です。
是非ご活用下さい。
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論述解答例(第15回 キャリア開発協会)
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<問1>
事例Ⅰは、キャリアコンサルタントが、クライエントの話を聞いて、「特許事務所で人と接してこなかったことが影響している」などの発言に見られるように、自分の考えを一方的に述べている。クライエントに自己探索する機会を与えず、問題解決を急いでいる。これに対して、事例Ⅱは、食事の介助を続けて拒否されたクライエントの経験を具体的に引き出し、クライエントの混乱した気持ちを受容し、共感している。さらに「仕事ができることは、時間を管理できることだ」という思い込みに気づきを与えている。
<問2 >
事例1のCCt10 相応しくない
コンサルタントが一方的に自分の考えをのべており、クライエントに寄り添う姿勢が見られない。
事例ⅡのCCt11 相応しい
クライエントの問題点を明確化し、自己洞察を促し、気づきにつなげている。
<問3>
クライエントは、食事の介助を利用者に続けて拒否され、フロアーリーダーから注意を受けたことで、介護職の仕事に自信をなくしている。しかし、拒否された原因を十分に分析せずに、「この仕事は向いていない」「自分に対して情けさが湧いてきた」などと思い込んでいる可能がある。その意味で、自己理解、仕事理解とも不十分であると思われる。
<問4>
クライエントは、まじめで几帳面な人物であることが想像できる。「仕事ができるということは、時間を管理できることだという考え方が、私の中に根付いてしまっているかもしれませんね」という気づきがあるので、その内容をさらに深堀りしていく。
具体的には以下のように進める。
①まずこの考えがなぜ根付いたのか、自身の体験を思い出してもらい原因を確認する。おそれく、特許事務所でのコツコツする仕事を長く続けてきたことが考えられる。
②次に、この考えで仕事して良かったことを思い出してもらう。例えば、人の信頼を得られたことなど。
③さらに、この考えでは、介護の今の仕事ではなぜうまくいかないのか、考えてもらう。研修で教わったことや3か月の実務経験の中で、時間管理だけでは解決できないこと、例えば、時間よりプロセスが重要な事柄があることに気づいてもらう。
④その過程で、クライエントに「自分にもできる」という自信を回復してもらう。