キャリアコンサルタント1級

皆さん、キャリアコンサルタントという言葉を聞いたことはありますか?ここではキャリアコンサルタント1級についてご紹介したいと思います。
なお、正式名称は、「国家検定 キャリアコンサルティング技能士1級」といいます。

具体的には、

1. 国家検定キャリアコンサルティング技能士1級は、いつからできたか?
(1)国家資格と国家検定の違いについて
(2)国家検定キャリアコンサルティング技能士1級ができた経緯について
2. どんな時に1級が必要になるのか?
3. 受験資格について
4. 難易度は?
5. 資格取得のための勉強方法について
(1)学科試験
(2)実技試験
① 論述
② ロールプレイ
6. 1級資格の今後について

について紹介していきたいと思います

1. 国家検定キャリアコンサルティング1級は、いつからできたか?

(1)国家資格と国家検定の違いについて
まず前提として国家資格と国家検定の違いを明確にしておきましょう。
国家資格には、①普通の国家資格と②国家検定の2種類があります。どちらも広い意味では国家資格です。どこが違うのでしょうか?
まず①の場合は、国家資格にふさわしいと国が判断すると、業務独占か、名称独占、あるいは両方になります。国家資格キャリアコンサルタントは、名称独占の国家資格です。業務独占ではないことに注意しましょう。②は①とどのように異なるかというと国から見て、レベル分が必要であると判断した場合、国家検定になります。ですので、必ず1級、2級、3級といったレベル分けがあります。
キャリアコンサルタントの世界でも
・キャリアコンサルティング技能士1級
・キャリアコンサルティング技能士2級
という二つの技能士資格があります
何かとても複雑ですね。
2016年4月に標準キャリアコンサルタントが国家資格に移行するときに「キャリアコンサルティング3級」にする案もあったそうです。そうすれば、1級、2級、3級とレベル分けが明確になり、スッキリしてわかりやすいですね。しかし、3級にできなかった事情あったそうです。現在、国家検定は128種類あります。どの資格も3級は簡単に取得できます。例えば、「ボイラー3級」はテキスト一冊をマスターすれば、合格が可能です。
ところが、標準レベルのキャリアコンサルタントはどうでしょうか?150時間を超える講義を受け、しかも色々な課題もあり、試験も学科と実技があります。つまり、もし3級にすると、他の検定試験とあまりに難易度に差ができてしまいます。「本当は3級にするのがわかりやすかったが、標準レベルのキャリコンがあまりに難易度が高く、3級にできなかった。しかし、資格のステータスをアップするために、国家資格にして、名称独占にした」との厚生労働省の担当者の方からの説明がありました。

(2)国家検定キャリアコンサルティング1級ができた経緯について
1990年代に入るとバブルが崩壊して日本でも、不況が長期化し、産業構造の変化を余儀なくされました。日本が「失われた10年」と言われている時代です。日本の高度成長を支えてきた終身雇用や年功序列の制度(いわゆる三種の神器)にほころびが見られ、雇用の流動化が本格的に始まりました。つまり、「転職が当たり前」の時代が日本でも始まったのです、しかし、日本では核家族化や地方での過疎化が進み、家族や地域が、就職や失業で悩んでいる人を十分に支えきれない状況になっていました。
そこで、国が仕事で悩んでいる人や困っている人をサポートする仕組みとして立ち上げたのがキャリアコンサルタントです。具体的なイメージとしては、ハローワークの相談員のような方を、もっと「働く現場」(企業や学校などの組織)に増やそうという狙いがありました。発案者は、小泉内閣で、国務大臣だった竹中平蔵氏です。アメリカの労働市場やキャリアコンサルタントにとても詳しい方です。
厚生労働省は、キャリアコンサルトを養成するためのガイドラインを作成しました。いわゆる指定基準です。テキスト、講師、カリキュラムをなど広範囲にわたり、相当ハードルが高い基準になっています。これを満たした団体の養成講座が、厚生労働省のお済付き(指定)がもらえる仕組みです。ここで注意すべきは、厚生労働省のお済付きはもらっても、国家資格になったわけではありません。あくまで民間資格であることに注意してください。当初は約20団体程ありましたが、結局、残ったのは10団体です。
2007年までに、指定団体の合格者は、一万人を超えました。ただ、10団体がバラバラで独自に実施していたので、統一が取れないし、一般の方からもわかりにくい。そこで、レベルアップをした統一的な資格を創設したいという厚生労働省は、考えました。その結果、新たに生まれたのが国家検定キャリアコンサルティング2級技能士と1級技能士です。実際に試験が始まったのは、2級が2008年からで、1級は2011年からです。従来の指定団体の資格と区別するために、従来の団体の資格を、標準レベルキャリコンサルタントと呼びます。2級技能士を熟練レベルと呼びます。1級技能士を指導レベルと呼びます。要するに、標準レベルは、新米のキャリコン、熟練レベルは、ベテランのキャリコン、指導レベルは、キャリコンの相談にのってくれる先生のようなイメージです。

2. どんな時に1級が必要になるのか?

まず、ハローワークや職業訓練などの公的機関で相談員として、仕事をする場合は、標準レベル以上のキャリアコンサルタント資格をもっていないと、今は、採用されることが難しくなっています。ですので、相談業務で仕事をしたいと考えているかたは、少なくとも標準レベルの国家資格キャリアコンサルタントは、取得する必要があります。
では、2級以上は、どうでしょうか?
まず、ハローワークの相談員の方は、2級以上をもっていると時給が高くなるとのことです。それと、会社や組織の中で、人事部に配属されている方は、管理職への昇進の条件として「2級を取りなさい」といわれることがあります。ですので、今は、仕事上は、2級の資格が必要ではなくとも、将来的に必要になる可能性があります。2級までは、なるべく早く取得することをお勧めします。国家資格を取得した後、勉強したことを忘れないうちに、2級を取ってしまいましょう。
1級は実務で必要になることはあるのでしょうか?
相談業務を行っている場面では、必要になることはありません。
しかし、更新講習の場面で必要になることがあります。キャリアコンサルタントは、5年毎に
更新が必要です。運転免許のようですね。更新講習の中に30時間の「技能」講習があります。
そして1級キャリアコンサルタント(スーパーバイザー)の指導を受けると、10時間以内ですが技能講習にカウントされます。したがって、更新講習のスーパーバイザーを目指す方には必要な資格になります。

3. 受験資格について

詳しくは、やはりキャリア協議会のホームページをご覧ください。
https://www.career-cc.org/kentei/

ここもポイントをご紹介いたします。大きく二つの方法があります。一つは、相談業務の実務経験10年で受験資格が取得を取得して、受験するやり方です。典型的には、ハローワークで10年以上相談員をやられている方などです。審査は自主申告で、それほど厳格ではありません。国家資格のような養成講座が免除になるようなことはないからです。それと更新講習もありません。ただし、技能士と名のるためには登録は必要になります。
もう一つは、2級技能士取得者が、3年間の実務経験で受験するやり方です。2級を取得していれば、実務経験が3年で足りることになります。

4. 難易度は?

キャリアコンサルティング技能士1級が一番、難しいです。合格率は、年にもよりますが数パーセントです。
キャリアコンサルティング技能士2級は、受験資格に5年以上の実務経験が必要で、合格率は、10パーセント台で、これもなかなか難しい資格です。
国家資格キャリアコンサルタントは、養成講座を修了すれば、実務経験はいりません。合格率がだんだん低くなり、現在は60パーセント台で推移しています。

5. 資格取得のための勉強方法について

(3)学科試験(50問)(合格点70%以上)
学科の勉強は、2級技能士であれば過去問の3回分の検討で合格点の70%は取れます。過去問が繰り返し出題されるからです。実務経験で受験される方は、標準レベルのキャリコンの基礎知識を身に着ける必要があるだけでなく、2級技能士の3回分の過去問の検討も必要になります。問題を読んでわからないときは市販されている書籍で勉強することも不可欠です。

(4)実技試験
① 論述(2ケース120分)(合格点60%以上)
過去問は3回分、公開されていますが、解答例は公開されていません。皆さん、方法論が分からず苦労されています。受験指導機関の利用をお勧めします。無理であれば
合格者から情報収集することが良いでしょう。独学はお勧めできません。
② ロールプレイ(40分、ロープレ30分・口頭試問10分)(合格点60%以上)
スパーバイザーとしてのロープレです。1級で一番大変なのは、ロープレです。3回分の問題は公開されていますが、それ以外は、採点基準が公開されているだけです。標準レベルのスキルでは、合格は難しい
です。しかも、実務とは異なるい点が多いです。受験指導機関の受講をお勧めします。
 

6. 1級技能士の今後について

厚生労働省は2016年に「キャリアコンサルタント養成10万人計画」を発表しました。現在、国家資格の登録者は5万人を超えています。ある程度の数を確保できたといえます。そこで厚生労働省は次の課題として、キャリアコンサルタントの「質」の強化に力を入れています。そのためにスーパーバイザーの育成を強化すると同時にその利用を推進しています。つまり、キャリアコンサルタントは、もっとスーパーバイザーに相談して、力量をあげなさいということです。国家資格の論述の出題形式が、スーパーバイザーに相談するときの書式に変わったのもその現れ
だと考えられます。今後、1級技能士の役割は増々、重要になるといえます。

いかがでしたか?キャリアコンサルタント1級について、おわかりいただけたでしょうか?
今後、ますます需要が増える資格だと思います。
ご興味ある方は、是非アジャイルキャリアまで、ご連絡下さい!